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SUB STORY IZANAMI #02「嵐」

「この嵐はふつうじゃない」
横殴りの暴雨、基地の上空にはまるで大きな魔物が潜んでいて、
隙あらば根こそぎ鷲掴みにしていくぞといわんばかりに激しい雨風を叩きつけてくる。

今夜の天候を気にしながら、スタッフたちが待機しているときだった。
この状況下で、一番聞きたくないイエローアラート(第1次緊急警報)が鳴り響いた。
スタッフたちの顔色が変わる。
「こんな嵐の中で出撃なんて…。」

「出すよ!」
伊沙波はそう言い置くとまわりの不安をよそに、雨合羽をひっつかんで走り出した。
ヘッドセットを装着しながら、管制塔と連絡をとる。
「伊沙波、なんとしてでも出せ!」
管制塔の返事は無常にも伊沙波と同じ回答でスタッフを気遣う気はない。
「わかってる!」
声を荒げる伊沙波。
心配なのは、離陸に失敗すれば滑走路はふさがってしまうこと。
“地球に危機が迫ってる。このくらいの嵐、なんともない!”

発射位置に立つ巨人を下から見上げると、大きなビルのように見える。
しかし、伊沙波にとっては自分にすべての命運を預ける赤ん坊のようだった。

タブレットに気象衛星のデータをモニターし、バトルドライバーの軌道と照らし合わせる。
奇跡とも無謀とも呼べる宙(そら)への道を探る伊沙波。
時間がない…。焦れば焦るほど心が乱れる。今はここに集中して!!

そして、ついに見つけた。
「北北西、30秒後に雲の流れが変わる。ここだ!」

一瞬の雲の切れ目に、薄らと辺りが明るくなる。
伊沙波は全神経を集中させて、バトルドライバーを次々と送り出す。
“私は全員無事に離陸させる。だから、全員無事に帰還して…。”
最終機の出撃後、瞬く間に晴れ間は消えていく。
再び戻った激しい嵐に視界を遮られ、最後まで見送れなかった。

「そうじゃなきゃ、許さないよ。」

第三話近日公開予定!